生成AIのAct o1
ダニエル・カーネマンのファスト&スローじゃないけど、生成AIの研究は「速く考える」(システム1)から「ゆっくり考える」(システム2)へ移行しているという話。ChatGPT o1がその代表的な成果ですよね。この記事でAlphaGoは「推論」、つまり考えることができる領域に踏み込んでいたと指摘。LLMはまだその領域まで踏み込んでいなかった。囲碁は次の一手を得点化して評価することは可能だけど、小説のドラフトを数値化して評価するのはとても難しい。それを可能にしたo1に関するOpenAIの論文『LLMで推論を学ぶ』でその手法の一部は明らかになりつつある。それはサービス・アズ・ア・ソフトウェアという新しいパラダイム、新しい生成AIの世界の始まりでもある。少なくともVCのSequoiaはそう考えているとのこと。(リンク)
Replitのプロダクト・マーケット・フィットへの道
創業者アムジャド・マサドの大学のサイドプロジェクトから10億ドル規模のAIスタートアップReplitに成長した道のりの紹介。このプロジェクトはREPL(Read-Evaluate-Print-Loopを意味するコンピューター・プログラミング用語)が必要なときにいつでも利用できるコーディング言語のプロジェクトRepl.itとしてヨルダンのプリンセス・スマヤ大学ではじまる。しかし、アムジャドはこのプロジェクトは脇に置き、大学卒業後はソフトウェアエンジニアとしてキャリアを歩む。そうこうしている間にRepl.itは自律的に成長していく。Hacker NewsやGithubでも人気が出る。需要が高く夜や週末にプロジェクトに関わらなくてはいけなくなる。このプロジェクトの人気がきっかけでヨルダンからアメリカへわたりCodeacademyやFacebookで働くこととなる。そのあとにブラウザベースのRepl.itをクラウドベースのReplitにするためにY Combinatorの門をたたくが何回も断られ続けた。最終的には受け入れられるが、卒業後も平坦な道のりではなかった。振り返ると三つの大きな決断があった。ひとつは特定の言語ではなく汎用的にさまざまな言語をさぽーおとするという決断。ふたつめはAIを早期に採用したこと。OpenAIと提携してExplain Codeを立ち上げる。みっつめは大企業との提携。製品の一つGhostwriterをGoogleとの提携でGoogle Cloudで使えるようになる。(リンク)
NotebookLM開発の裏側
発表当時はそれほど話題にはならなかったNotebookLMですが、単なるテキストではなくポッドキャスト風の音声で生成する機能Audio Overviewで大きな話題となります。この開発をリードするRaiza Martinへのインタビュー。このプロジェクトはGoogle LabではじまりLLMとしてはGemini 1.5 Proが基盤となっていて、音声部分は別のチームが開発したオーディオモデルがもとになっている。この二つを基盤としてNotebookLMはContent Studioを作る。このContents Studioで生成されたポッドキャスト風の音声を何回もトライ&エラーを繰り返して現在の形までチューニングした。モデル自体はもともとあったもので、そのインターフェースで有用性を世間に示すという意味ではGPTというモデルを使いチャットというインターフェースで人気を博したChatGPTに似ている。(リンク)
UXデザインのケーススタディ: スターバックスのビハインド・ザ・カウンター・システム
スターバックスのカフェ体験の中心にいるのは従業員であり、従業員が働くカウンターの向こう側(ビハインド・ザ・カウンター)共通するUX戦略とUIデザインシステムを構築するプロジェクトをはじめる。このプロセスを5つのフェーズに分けて解説。最初はリサーチ。この結果から6つの本質的なデザイン原則を決める。ふたつめはデザイン原則に基づき現在利用している機器の監査。調査と監査のフェーズから得た知見をもとにUX コンポーネントと UI パターンの検討を開始。そして実装とガイドラインの作成へと続く。(リンク)
Y Combinatorの評判を落とすAIスタートアップのドラマ
Y Combinatorの卒業生PearAIのコードを見ると、既存のオープンソースプロジェクトであるContinue.devクローンであることが判明。これには少し誤解もあって、Continue.devをクレジットしていた。ただ問題だったのはPearAIはほぼほぼConinue.devそのままであり、Apatcheライセンスを適用すべきなのにクローズドライセンスにしたこと。Y Combinatorのギャリー・タンはPearAIの擁護に回るのだけれど、これでさらに炎上。だって、ただコピーしただけでY Combinatorから資金援助されるんだから、そもそもY Combinatorってもうオワコンなんじゃない?という議論にまでなってしまう。(リンク)
FBIがポンプ・アンド・ダンプ詐欺を調査するために仮想通貨コインを密かに作成
パンプ・アンド・ダンプとは情報操作によって仮想通貨の価格を一時的に上昇させ、そのあとに大量に売り抜ける詐欺手法。ダークWeb最大の取引所だったシルクロードの運営者逮捕やマウントゴックスから大量の仮想通貨を盗んだとされる犯人の逮捕でもわかるように、仮想通貨はかなり透明性が高く操作の手法も高度化していることがわかります。このニュースはその一連の流れの最新の一つ。ZMQuant、CLS Global、MyTradeのマーケットメーカー3社は、FBIによって作られたとは知らなかったイーサリアムベースのトークンであるNexFundAIのためにウォッシュトレードを行った、あるいはウォッシュトレードを行うよう共謀したとのことが判明したとのこと。(リンク)
インターネット・アーカイブが攻撃を受けている
インターネット・アーカイブ (www.archive.org)がハッキングによる攻撃を受けて3100万人の個人情報が流出したという話。10月15日もまだ復旧していない。そもそもこれだけ巨大なアーカイブを管理しているのが非営利団体だというのがスゴイことだと思う。規模としてはWikipediaと比肩するんじゃないか?それができることがインターネットのすごいところだと思うので、ハッキングにめげずに頑張ってほしい。(リンク)