映画リーク犯、司法取引で損害額激減
DVD製造会社の元従業員が、勤務先から1,000枚以上のディスクを盗み、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など公開前の映画をオンラインにリークさせた。男は暗号化を解除して海賊版を作成し、スタジオより先に公開することで金銭的利益を得ていた容疑で逮捕された。
当初、FBIは1作品だけで数千万ドルの損害が発生したと見積もっていた。しかし、男が司法取引に応じた結果、全体の侵害総額は最大でも4万ドルと、当初の見積もりから大幅に減額された。これにより、著作権侵害など一部の訴因も取り下げられた。
司法取引後も著作権侵害の罪は残っており、男は最大で禁錮5年と罰金25万ドル、さらに被害者への損害賠償に直面している。最終的な刑期と賠償額は、8月末に開かれる裁判所の審理で決定される。
矛盾と共に生きるということ
ジャーナリストのエズラ・クラインは、現代人の心の葛藤を探る。世界の悲惨なニュースを知りながら、私たちは平穏な日常を生きる。この矛盾をどう受け入れるべきか。彼は作家キャスリン・シュルツを招く。彼女の著書『Lost and Found』は、人生が常に「AND」の連続だと描いている。
対話の中心はシュルツ自身の体験である。彼女は父親を亡くし、深い喪失感を抱いた。しかし、ほぼ同時期に未来の妻となるパートナーと出会い、恋に落ちる。人生は一つの感情では決して語れない。喪失と発見は同時に起こり、喜びと悲しみは常に隣り合っているのだ。
あらゆる経験には二つの側面がある。シュルツの父親は、難民として育ち目の前で近親者を失う壮絶な過去を持っていた。それでも彼は、誰よりも聡明で陽気な人物であった。同様に、悲しみはただ辛いだけではない。それは世界の壊れやすい真実の姿を見せ、人生の美しさに気づかせる力を持つ。
この番組は「and」という言葉の力に注目する。哲学者のウィリアム・ジェームズは、思考の「つながり」の重要性を説いた。「and」は無関係な物事をつなぎ、次への可能性を生む。人生の目的は、喜びか悲しみかを選ぶことではない。相反する全てを同時に受け入れることだ。その複雑さこそが人間らしい経験だと、番組は締めくくる。
米企業がプライド月間から続々撤退、政治的圧力で支援削減
ニューヨーク市のプライド月間を運営する非営利団体は、今年の企業スポンサーの約4分の1が支援を中止または縮小したと発表した。この撤退により約75万ドルの資金不足が生じ、6月末までに2万5000ドルの追加調達が必要な状況となっている。PepsiCo、Target、日産、Mastercardなどの大手企業が支援を取りやめるか貢献額を減らした一方、Brooklyn Breweryなどの地元の小規模企業が支援に名乗りを上げている。
この現象はニューヨークに限らず全米で発生している。サンフランシスコでは約20万ドル、セントルイスでは15万ドルの資金不足が報告され、地方の小規模なプライドイベントでは平年比70%から90%もスポンサーシップが減少している。Anheuser-Buschは30年以上にわたってセントルイスのPrideFestを支援してきたが、2025年の更新を見送った。同社の傘下ブランドBud Lightは2023年、トランスジェンダーのインフルエンサーDylan Mulvaneyとのコラボレーションで保守派から激しい批判を受け、14億ドルの売上減少を記録した経緯がある。
企業の撤退は、トランプ政権下での政治的圧力の高まりと密接に関連している。多くの企業が関税の経済的影響への懸念を理由に挙げているが、現政権からの反発を恐れてLGBTQ+支援を公表することを避ける傾向も見られる。Tractor Supply、John Deere、Harley-Davidson、Ford、Lowe'sなどの企業もDEI(多様性・公平性・包摂性)への取り組みを縮小している。LGBTQ+マーケティングを専門とするジョアンナ・シュワルツ教授は、企業が保守的な批判や政権からの標的になることを恐れ、特にトランスジェンダーや非バイナリーの人々への言及を避ける傾向が強まっていると分析している。
ベージュ系Amazonインフルエンサー著作権訴訟が和解で終結
「ベージュ系Amazon インフルエンサー」として知られる2人の女性クリエイターの間で起きていた著作権侵害訴訟が、両当事者の申し出により取り下げられることになった。シドニー・ニコール・スロネカーがアリッサ・シェイルを相手取って起こしたこの訴訟は、同じような商品を同じような構図で紹介する投稿内容が酷似していることを理由に、著作権侵害や商標権侵害を主張していた。両者ともクリーム色、白、ベージュを基調とした統一感のある投稿スタイルで人気を集めるAmazonアフィリエイト・インフルエンサーだった。
シェイル側の弁護士は、一部のケースではスロネカーが主張した「コピー」とされる投稿について、実際にはシェイルの方が先に撮影していたことがメタデータで証明されたと述べている。黒いレザージャケットを着た投稿では、スロネカーがシェイルに数日後にコピーされたと主張していたが、実際にはシェイルの方が5日早く撮影していたという。シェイルは声明で「これは若い少数派起業家が業界でいじめられることを許さないという大きな戦いだった」と述べ、今後もAmazon関連のコンテンツ制作を続ける意向を示した。
この訴訟はインフルエンサー業界のコンテンツを扱った初めてのケースとして注目を集めていた。ソーシャルメディアのアルゴリズムが最適化を重視する仕組みの中で、クリエイターたちが似たような投稿スタイルに収束していく現象を浮き彫りにした事例でもある。専門家らは、今回の和解にもかかわらず、オンライン上のペルソナの所有権やインフルエンサーコンテンツの芸術性といった根本的な問題は今後も議論され続けるだろうと指摘している。
プロダクトマネージャーが語るYouTube Studioの役割と未来
Creator Insiderは、YouTubeの技術チームが運営する非公式チャンネル。今回特集するのは、全てのYouTubeクリエイターが使う公式ツール、YouTube Studio。動画のアップロードから分析、収益管理まで、チャンネル運営の全てを担っている。登壇したYouTube Studioのプロダクトマネージャーのエビ・アタウォディ。
YouTube Studioは、多様なクリエイターのニーズに応えようと進化を続けている。数字の分析が好きな人もいれば、それを苦手とする人など、そのニーズは様々。そのため、データの見せ方にも工夫を凝らす必要がある。例えば、視聴回数の減少を赤色で示すような、意欲を削ぐ表示は行わない。クリエイターそれぞれの目標に合わせ、最適な情報を提供することが重要なのである。
データは解釈が何よりも重要になる。例えば動画の「10段階評価」も、広い層に届く動画か、一部のファン向けの動画かで、その意味合いは大きく変わる。YouTube Studioがクリック率よりも視聴時間を重視するのも、それが視聴者の本当の満足度を示すからに他ならない。このように数字の裏にある意味を伝え、クリエイターの次の一歩を後押しする。
YouTube Studioの未来像は「表現とつながりの融合」だとエビ・アタウォディは語る。AIなどの技術は、今後さらに創作の障壁を下げていくと予想される。誰もがリソースを問わず、自由に表現し、世界とつながれること。それがYouTube Studioの最終目標であり、そのための最高のパートナーであり続ける。
OpenAIの新方針に活動家が反発
OpenAIが営利企業への転換ともいえる新たな道筋を模索する中、市民活動家などから強い反対の声が上がっている。この動きは、OpenAIが設立時の公的な使命から逸脱することへの懸念を生んだ。特に市民団体のPublic Citizenは、この構造変更に対して具体的な対案を示し、厳しく対立する姿勢である。
Public Citizenは、非営利部門がOpenAIの営利活動を完全に統制し続けるべきだと主張する。具体的には、経営陣の解任権を維持し、利益よりも使命を優先させることを要求した。その上で、少なくとも974億ドルと見積もられる資産を、既存の独立した非営-利団体か新設の団体へ譲渡するよう求めている。イーロン・マスクも非営利部門の解散を主張した。
OpenAIの資産価値と管理方法を巡っても様々な意見が出ている。CANIは公開オークションの実施を提案し、974億ドルで入札する意向を示した。一方でMetaは、資産価値を3000億ドル以上と遥かに高く見積もり、使命を監督する新組織の設立を提案している。これらの動きは、OpenAIの将来の構造に対し、外部からの監視と介入が強まっていることを示すものだ。
New York Times、AmazonとAIライセンス契約を締結
New York Times CompanyがAmazonと複数年にわたるライセンス契約を締結し、同社の編集コンテンツをAmazonの人工知能プラットフォームで使用することを許可すると発表した。この契約にはニュース記事に加え、料理レシピサイトのNYT CookingやスポーツメディアのThe Athleticのコンテンツも含まれる。Times側はこれを「高品質なジャーナリズムには対価が支払われるべき」という原則に沿った決定だと説明している。
この契約は、New York Timesが生成AI技術に特化した初のライセンス契約となる。同社は2023年にOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴しており、両社が数百万件の記事を無償でチャットボットの訓練に使用したと主張している。一方で他の報道機関、AxelSpringer、Condé Nast、News Corpなどは既にライセンス契約を結んでおり、Amazonの創設者ジェフ・ベゾスが所有するWashington PostもOpenAIと契約を結んでいる。
AmazonはAI分野では後発組で、ChatGPTが2022年末にリリースされた際はGoogle、Meta、Appleと同様に出遅れた状況にあった。しかし同社は昨年6月にAIスタートアップのAdeptと3億3000万ドル以上の契約を結び、その後Covariantとも同様の契約を締結している。現在これらの人材を中心に「汎用人工知能」の研究ラボを運営しており、OpenAIのライバルであるAnthropicにも40億ドルを投資している。
Google Drive、AIによる動画の自動要約機能を追加
Google Driveに、保存された動画の内容をAIが要約し、質問に答える新機能が導入された。このGemini AIを活用した機能により、ユーザーは動画を自ら視聴することなく、その概要や特定の情報を迅速に把握できる。
この機能はチャットボット形式で動作し、録画された会議からタスクリストを作成したり、発表動画から新製品の情報を抽出したりすることが可能だ。これにより、長時間の動画を手動で確認し、メモを取る手間が大幅に省ける。ただし、機能を利用するには動画のキャプションを有効にしておく必要がある。
この新機能は、Google WorkspaceおよびGoogle One AIプレミアムの有料ユーザーなどを対象に英語で提供が開始されている。また、これとは別に、Drive上の動画が何回再生されたかを確認できるエンゲージメント分析機能も追加された。